一般質問 2月定例会 2014年2月26日


県議会、初めてとなる一般質問は、総括質問形式で行いました。

 
各地で災害救助法適用になるなど甚大被害をもたらした豪雪災害の覚め在らぬ中、雪害に関しては別に集中審議することとし粛々と質問することとしました。

1 リニア中央新幹線明かり区間の観光活用について

山梨県は、計画されている走行ルートのうち、他の都県とは比較にならないほどの明かり区間を有しており、例えば、高台を眺望スポットとして整備し、リニアが見える明かり区間を観光に活用することが必要だと考える。甲府盆地を走るリニアの姿を観光資源として活用していくことに対する所見を伺う。

答)
リニア中央新幹線の開通により、山梨は、東京、名古屋、大阪エリア人口7千万人のメガロポリスの中心に位置することとなり、国内はもとより、世界中の方々が、世界遺産富士山をはじめとする本県観光地を訪れることが期待されています。 このため、本県の豊かな地域資源を活用した、様々な観光振興策を、今からしっかりと考えていくことが、大変重要であります。 明かり区間の観光活用につきましても、今後、リニア中央新幹線の整備計画が具体化する中で、市町村や関係団体とともに、その可能性を検討して参りたいと考えております。


 

2 外国人観光客の受け入れに向けた取り組みについて

(1)
生活習慣等への対応について 例えば、アレルギーや宗教上の理由で食べられない食材を図で表現することで、一見してその表現内容を理解できるピクトグラムを食事のメニューなどに配置・使用するなど、外国人観光客の立場に立った受け入れ環境を整えていくことが必要であると考えるが、生活習慣等に対応した受け入れ環境の整備にどのように取り組んでいくのか伺う。

答)
海外からの訪日旅行者の増加に伴い、県内のホテルや旅館において、様々な国から訪れる外国人観光客の受け入れ体制の整備が、大きな課題となっております。 このため、昨年度までは、中国人の生活習慣をテーマに研修を実施してきたところであり、本年度からは、今後増加が見込まれるイスラム教徒の受け入れに向け、専門家による講演会や意見交換会を開催し、食文化などの理解を深めてきているところであります。 明年度は、引き続き、インドネシアからの国際交流員による個別相談会を開催するなど、より実践的な受け入れ環境についての研修を重ね、食材の表示方法などについても、研究して参りたいと考えております。

 

(2)
道路案内標識の英語表記の改善について 道路案内標識の英語表記について、国土交通省から改善方針が示され、先行的に取り組む地域に富士河口湖町と笛吹市が指定された。来県する多数の外国人観光客が、安心して容易に目的地に移動できるよう、道路案内標識の英語表記の改善を、全県下に拡大し、東京オリンピック開催を見据え、できるだけ早く完了するべきである。所見を伺う。

答)
県では、観光客の国際化に対応するため、これまでも、道路案内標識の英語表記に、取り組んできたところであります。 今般、国から示された英語表記の改善方針を受け、先行的に取り組む拠点として指定された、富士河口湖町と笛吹市に加え、富士山周辺地域においても、早急に取り組むこととし、明年度中に改善して参ります。 更に、今後、対象地域を県内全域に広げ、3年間を目途に、英語表記の改善を完了し、外国人観光客が安心して快適に、県内を旅行できる環境づくりに取り組んで参ります。

 

 

3 エネルギーの地産地消について

(1)
住宅用太陽光発電の普及について 昨年度末の本県の住宅用太陽光発電の普及率は、6.5パーセント、全国第7位と上位にあるが、日本一の日照時間を考えると、まだまだ普及の余地があり、推進戦略の目標である普及率50%を実現するためには、さらに県の支援が必要である。 今後、どのようにして住宅用太陽光発電の普及を拡大しようと考えているのか伺う。

答)
全国有数の日照時間を誇る本県においては、住宅への太陽光発電設備の設置に対する県民の関心は高く、普及率も大きく上昇しております。 この動きを更に加速させるためには、住宅での発電ということに加え、発電した電気を賢く使い、快適に暮らすことのできる仕組みとして、太陽光発電を普及させていくことが必要であると考えております。 このため、明年度から新たに、太陽光発電設備等と家庭用のエネルギー管理システムとを併せて、既存住宅に設置する場合の補助制度を開始し、住宅におけるスマートエネルギー化を後押しすることとしております。 また、太陽光発電設備を適正な価格で安心して導入できるよう、明年度も引き続き、県内事業者から募集した設置プランを、県民の皆様に情報提供して参ります。 なお、これまで実施してきました住宅用太陽光発電設備設置費補助金については、設備の導入単価が大幅に低下していることなどを踏まえ、本年度をもって終了いたしますが、今後とも、新たな補助制度などを通じて、これまで以上に住宅用太陽光発電の普及を進めていく考えであります。

 

(2)
水力発電の推進について 県では、小水力発電開発を一層推進するため、平成25年度、「やまなし小水力ファスト10」をスタートさせ、10年間で10カ所程度の小水力発電所を建設していくと聞いており、大いに期待している。そこで、現在までの取り組み状況、来年度の計画について伺う。

答)
まず、「やまなし小水力ファスト10」につきましては、これまでに峡東ブロックにおいて具体的な開発地点を絞り込み、必要な調査や関係機関との協議を進めるとともに、国の規制緩和により手続きが簡素化されたことから、慣行水利権のかんがい用水を利用した発電の検討を行って参りました。 その結果、明年度は、甲州市重川の発電所と、簡素化された手続きによる国内初の事例を目指した、北杜市朝穂堰の発電所の建設を進めて参ります。

 

既存の水力発電所の有効活用策として、「水力発電所出力増強事業」を進めていくとのことだが、事業の内容及び期待される効果について伺う。

答)
「水力発電所出力増強事業」につきましては、既設の21水力発電所のうち、機器の更新により、発電効率が向上し、最大出力の増加が見込める8発電所について性能確認試験を行い、その結果に基づいて、最大出力の変更を国へ届け出ることにより、出力の増強を図るものであります。 これにより、一般家庭で使用する年間消費電力量の約1 , 10 0軒分に相当する供給電力量の増加を見込んでおります。 今後とも、民間等の小水力発電の開発を支援するとともに、県自らも積極的に開発を推進することにより、エネルギーの地産地消の実現に向けて取り組んで参ります。

 
市川三郷町は、芦川水力発電所は県内電力発生で、最近では事業用太陽光発電も普及しています。

 

 
多くの皆様に傍聴していただきありがとうございました。

4 芦川の河川改修について

県では、平成23年の台風15号の経験も踏まえ、芦川の河川改修事業に着手したと聞いているが、芦川の改修は地域の悲願でもある。現在4カ所ある取水口や良好な河川環境を保全しながら、親水性にも配慮しつつ、滞りなく事業が進捗するよう全力で取り組んでもらいたい。芦川の改修計画の概要と今後の進め方について所見を伺う。

答)
芦川については、笛吹川合流付近から川浦橋までの約2, 3 0 0メートルを全体計画区間とし、このうち下流から人家が連担するJR身延線までの約1 , 3 0 0メートルについで、現在、詳細設計を行っております。計画では、流下能力を確保するため、河床の掘削や堤防の嵩上げ、更に、芦川橋付近では川幅を右岸側に10メートル程度広げる予定であります。 また、整備に際しては、自然環境の保全や利水機能の確保に努めるとともに、階段護岸を設置するなど、身近な水辺空間となるよう配慮していきます。 明年度からは、河床掘削等の工事に着手する予定であり、今後とも地域の皆様の御協力をいただき、早期に安全が確保できるよう、積極的に事業を進めて参ります。

 

慶応義塾大学の学生より提案された芦川の親水性ある空間「親しみある水辺」

5 森林資源の活用について

例えば、峡南地域の企業が取り組む、繊維業と林業が融合した「木糸プロジェクト」のように、地域の森林資源を活用して、幅広い分野の事業者が連携し、幅広い消費者に親しまれる木製品の開発・加工・販売への取り組みを支援していくことが重要である。こうした取り組みをどのように進めていくのか、所見を伺う。

答)
木製品に係る一般消費者の関心について、平成22年に国が実施した「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」では、ほぼ全員の方が木製品を生活に取り入れたいと回答しており、消費者の高い関心が伺われます。 こうした消費者ニーズに応じ、幅広い分野の事業者が持つ技術やノウハウを結合し、新しい木製品を開発、供給していくことが必要と考えます。 このため、県では、例えば、ソーラーパネル用の木製の架台など、大学や民間団体が行う新たな木製品の開発に対する支援のほか、県の林業普及指導員が相談の窓口となり、他産業の事業者との連携や販路の開拓に向けた助言を行って参りました。 また、県総合理工学研究機構においては、竹を家畜の飼料として活用する研究など、新たな用途開発を進めているところです。 今後もこれらの取り組みを進めるとともに、産学官の連携により新たな産業の創出を目指す、国の森林総合研究所の指導・助言も受けながら、他産業と連携し、消費者ニーズに応じた木製品の開発・加工・販売など、新たな事業機会の創出に取り組んで参ります。

 

「木糸プロジェクト」の商品や木製品(イメージ)

6 峡南医療センターについて

峡南医療センターの開院により、医療提供体制の強化が図られ、統合に携わっている方々の努力が報われるとともに、地域の住民が安心して病院に掛かれることは非常に喜ばしいことである。峡南北部2病院の統合にかかる基本計画では、富士川病院を基幹診療型病院、市川三郷病院を総合診療型病院と役割分担し、両病院が連携を図る計画となっているが、4月の開院に向けた取り組み状況について伺う。

答)
峡南医療センターの開院に向けた取り組み状況についてですが、富士川病院では、内科の入院を再開し、急性期医療を担う基幹診療型病院として、手術室に最新医療機器の整備を行うとともに、市川三郷病院では、急性期以外の医療を提供する総合診療型病院として、小児科の診療の再開や3階の一般病床を療養病床に改修するなど、各々の病院の役割に沿った整備を進めてきたところであります。 更に、両病院に医療連携センターを設置し、両病院間並びに地域の診療所等との連携を強化することにより、地域内において急性期から慢性期、在宅医療の支援に至る、切れ目のない医療を提供する地域完結型医療の実現を図ることとしております。

 

開院後における最も大きな課題は人材確保である。医師については、本年4月から山梨大学医学部の地域枠の学生が卒業するが、実際に医師として自立した診療ができるようになるには、さらに長い期間が必要となる。医師不足が継続する中、峡南医療センター開院後の医師確保に対する県の支援について所見を伺う。

答)
開院後の医師確保に対する県の支援についてですが、峡南医療センターには、山梨大学に寄附講座を設置し、本年度から医師1名を派遣しておりますが、明年度はこれに加え医師2名を派遣し、合計3名を派遣することとしております。 更に、県では本年度、地域医療支援センターを設置し、峡南医療センターなどの地域の医療機関と中核病院をローテーションで勤務しながら、医師としてのキャリア形成を行う研修プログラムを開発・実施することにより、峡南地域など医師不足地域の病院へ医師を派遣できるよう、取り組みを進めているところであります。 こうした取り組みにより、開院後におきましても、医師確保への支援を行って参ります。

 

 

7 峡南地域の高校再編整備について

県立高校の再編整備は生徒を第一に考え、通学事情や生徒数の将来予測など、様々な検証を踏まえた慎重な判断も必要である。さらに、地域住民や同窓会関係者にも十分な説明を行い、理解を得てもらいたいが、既に実施した峡南地域南部の説明会ではどのように説明し、理解が得られたのか。また、未実施の市川三郷町と富士川町について、今後どのように対応していくのか、併せて所見を伺う。

答)
峡南地域の中学校卒業生徒数の減少が進む中で、峡南地域の増穂商業・市川・峡南・身延高校4校の再編整備は、避けて通れない課題であり、昨年11月以降、身延町、南部町、早川町で、順次、地域説明会を開催してきたところであります。 説明会では、県立高等学校 整備基本構想の基本的な考えを示した上で、峡南地域の中学校卒業生徒数の動向、高等学校の生徒の在籍数・居住地・通学手段などの状況を説明したところ、地域の教育を取り巻く厳しい現状については、一定の理解をいただいたものと認識しております。 また、身延高校を基軸とする連携型中高一貫教育について検討を進めていく必要があることから、市川三郷町及び富士川町に先立ち、峡南地域の南部から説明会を行ったところです。 今後、未実施の両町におきましても、明年度の早い時期に地域説明会を開催し、魅力と活力ある高校づくりに向けて、峡南地域の現状と再編整備の必要性について、理解を求めて参りたいと考えております。


 

 

 

 

 

 

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県議会議員 遠藤浩
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